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HRテックとは?AIやIOTが企業にもたらす影響や事例をわかりやすく解説

最近よく登場するようになったビジネス用語のひとつに「HRテック(HRテクノロジー)」というものがあります。

「HRテック」は「Human Resource Technology」の略です。

採用や労務管理などの人事業務にAIやIoTなどを取り入れることで効率化させる、という取り組みは多くの企業で進められつつありますが、現代のHRテクノロジーの活用領域はそれだけにとどまりません。

最新のHRテクノロジーは企業には何をもたらすのでしょうか。

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HRテックの領域

HRテックの領域

HRテックと呼ばれるものは幅広く、おもに7つの領域があります。

  • 採用:求人、マッチング、適性検査、オンライン面接ツールなど
  • タレントマネジメント:社員の能力、スキルを分析
  • エンゲージメント:社員と会社の関係、気持ちの面を可視化してマッチングに利用し、従業員の職場満足度を高める
  • 勤怠管理:勤務時間や出退勤データを一元管理
  • 労務管理:健康保険や年金等の手続きをe-Gov上で行うことで合理化したり、手作業を減らすツールを導入したりするなど
  • 給与計算:勤怠管理システムと連携して給与計算を自動化。税制変更にも対応しやすい。
  • 健康管理:従業員の健康状態のデータをこまめに取得、蓄積、分析して健康管理に役立てる

PwCの調査によると、HRテクノロジーのひとつである「ピープルアナリティクス」の分野では、このようなデータ活用が進んでいます(図1)。

図1 日本企業の人材データ活用状況

(出所:「ピープルアナリティクスサーベイ2020調査結果(速報版)」PwC
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/people-analytics-survey.html 

人事管理をテクノロジーで実施する、と聞くと人を機械的に管理するというネガティブなイメージが湧くかもしれませんが、それは一昔以上前の話です。近年のHRテクノロジーは、人材の最適化や従業員の健康管理といった、従業員目線の分野でも力を発揮しているのです。

HRテックの導入事例

HRテックの導入事例

HRテックの利用方法は多岐にわたっています。

たとえばセブン-イレブンの場合、店舗への人材の定着を課題としていました。また、一つの店舗の中でも人員が足りない時間帯と人員が余り気味な時間帯が混在するため、「忙しすぎる」と感じる従業員が多かったという状況にありました。

そこで導入したテクノロジーがあります。

まず店舗ごとに全従業員について、移動・レジに何分、品出しに何分などストップウォッチで厳密に計測するところから始めました、そしてデータをもとに時間帯ごとの必要人数を割り出し、シフト作成を手助けするシステムを構築したのです[1]。

これにより人手が最適化されました。また、従業員には「自分の働きがそのまま生産性向上や売上につながる」という意識が生まれたと言います。

このシステムを今後拡充していく方針です。

また、作業量に関わるものとは違い、人材の「フィット感」という定量化が難しい部分にHRテクノロジーを導入しているのが日立です[2]。

人の成果や結果だけにとどまらず、思考などの内面を可視化する「ピープルアナリティクス」は最も注目されている分野といえます。

日立では社員の傾向を可視化し最適な配属を実施するために、職場のフィット感をはかるための指標を設けました。例えば、

  • 挑戦意欲度
  • 多様性関心度
  • 役割理解度
  • 成果意識度
  • 計画段取度
  • 心身調整度

などの指標で多次元的に社員の特性をデータ化する手法を開発しました。組織も同様に複数の指標に基づいて傾向を分析し、個人と組織のフィット感をはじきだすというシステムです。

これらの傾向をマネジャー研修に役立てています。

HRテックがもたらす「EX向上」

HRテックがもたらす「EX向上」

HRテックが注目されているのは、「EX」との間に相関性があるためです。

「EX」も最近注目されている言葉です。従業員エクスペリエンス=Emproyee Experience、つまり従業員エクスペリエンス、従業員が勤務先でどのような経験をしているかをはかるものです。職場満足度、とも言えます。

PwCのレポートによると、HRテクノロジーの導入とEXの関係について下のような結果が出ています(図2)。

図2 HRテクノロジーと従業員エクスペリエンスとの相関

(出所:「2020HRテクノロジーサーベイ報告書」PwC)
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2020/assets/pdf/hr-technology-survey2020.pdf p8

採用時の企業風土の情報開示の透明性にはじまり、自己啓発の自由度や給与体系、働き方、健康管理などEXの構成要素は多岐にわたりますが、HRテクノロジーの導入によって、特に従業員のエンゲージメントを向上させたのは以下の領域です(図3)。

図3 HRテクノロジー導入で従業員エンゲージメントが向上した業務


(出所:「2020HRテクノロジーサーベイ報告書」PwC)
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2020/assets/pdf/hr-technology-survey2020.pdf p8

また、人員配置についてはこのような統計もあります。
リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、人事に関して会社員はこのような望みを持っています(図3)。

図3 人事異動の際に考慮してほしいこと、把握したいこと


(出所:「一般社員892名と管理職300名の意識から探索する人事異動やキャリア開発の効果を高めるための情報共有のあり方」リクルートマネジメントソリューションズ)
https://www.recruit-ms.co.jp/research/study_report/0000000904/ 

人事異動や人材配置にあたって社員が考慮してほしいと思うこと、管理職が把握したいと思うことは「上司と本人との関係」を除けばほぼ一致しています。
それでも定着率が低い、離職率が高いという場合、現代のマネジメントに起きている変化について知る必要がありそうです。

HRテックが必要な理由「勘と経験の限界」

HRテックが必要な理由「勘と経験の限界」

PwCはレポートの中で、日本企業の人材マネジメントについてこのように指摘しています。

変化の一つ目は、「従業員の多様化」と「勘と経験に基づく意思決定の限界」である。これまでの日本企業では、相手が自分と同じ価値観を持っているという前提の下で、「勘と経験」に基づくマネジメントが行われるケースが比較的多かったと考えられる。しかしながら、女性や高齢者の活用、ビジネスのグローバル化、さらにはミレニアル世代の台頭などにより人材の多様化が進む現在においては、各人が持つ価値観もさまざまであるため、「勘と経験」による意思決定が難しくなってきており、事実やデータに基づいたマネジメントが求められているのである。

 

<引用:「ピープルアナリティクスが創り出すデジタル時代の人材マネジメント ピープルアナリティクスサーベイ2017調査結果」PwC
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2018/assets/pdf/people-analytics-survey2017.pdf p6

また、レポートでは、人材マネジメントの意思決定に対する説明責任が高まっているとも指摘されています。
マーケティングがそうであるように、人事においても、裏付けとなるデータや成果を定量的に示すことが求められているというものです。

確かに、「やりがいがない」「仕事に納得がいかない」という要素は、若手の離職を促す要因になってしまうことでしょう。

まとめ HRテックで「見える化」を

まとめ HRテックで「見える化」を

人事領域へのテクノロジー導入はコスト削減という側面も持ちますが、その最大の特徴は「可視化」だということです。
1日の業務内容を可視化したのがセブン-イレブンであり、個人の内的指向性を可視化したのが日立の取り組みです。

特にテレワーク下で、部下の状況が「見えない」状態が長く続いているというマネジメントも多いことでしょう。

HRテクノロジーは、そのような悩みを解決する一助となってくれることでしょう。

「旗を振れば社員はおのずと同じ方を向いてくれる」という考えはもはや過去のものなのです。

参照
[1]「まるわかり!HRテクノロジー」日本経済新聞出版社 p90-95
[2]「まるわかり!HRテクノロジー」日本経済新聞出版社 p70-72

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