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『指揮系統が年功序列なのはおかしい』組織を活性化するための適材適所を徹底解説!

多くの企業では組織は秩序立てられ、年功序列で立場が決まり、それに比例した指揮系統が定められています。
しかし、この方法は実は非効率で、生産性を下げてしまっている可能性があります。

「年長である」ことと「指揮を執る」ことは実は全く別のスキルであり、これらを同一視していると、組織は歪み、歯車は停止するからです。

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「テイラー・システム」からの脱却で複雑化したマネジメント

企業の人手不足感が高まる現在、採用の対象を主婦やシニアなどに多様化させる動きが、企業にはあります。
その中で再び注目されているのが「テイラー・システム」です。

テイラー・システムとは、ひとことで言えば「標準化」です。
誰にでも作業ができるよう業務をマニュアル化し、管理者のもとで計画的に行われることで工場の生産性を上げたというものです。

このテイラーの「標準化」をとことん追求して成功したのがフォード社です。
作業内容、作業時間、道具、部品、あらゆるものを標準化し、のちにベルトコンベヤ式が導入されることになります。1900年代前半のことで、この方式は「フォーディズム」と呼ばれるようになりました。
しかしフォーディズムは、「工場労働者の人間性を無視している」といった批判を浴びるようになります。

やがてオイルショックを機に大量生産・大量消費の時代が終わると、人間の感情と生産性との関係が強調されるようになりました。
現代に通ずる考え方でしょう。それゆえに「ポスト・フォーディズム」と呼ばれる現代のマネジメントには悩みがつきません。

ただ、日本企業は人手不足を抱えていて、再び「標準化」に着目する経営者が筆者の周辺にも現れるになりました。
業務の一部については、未経験のアルバイトでも対応できるようマニュアル化し、人手不足に対応したいという現実的な問題解消の手立てにしようという考えです。

求められているのは「フォーディズム化しない標準化」でしょう。

矛盾しているように聞こえるでしょうが、これを構築するには、思い込みを捨てる必要があります。

何を標準化し、すべきでないか

終身雇用の崩壊とともに、現代では「年功序列」を前提としない人事制度をもつ企業が増えてきました。
「令和の大リストラ」はその象徴ともいえるでしょう。
「融通のきかない年長者よりも、グローバル時代についていける若者が欲しい」と、企業が考えるのは当然のことです。
しかし中小企業の場合、こんなに思い切ったリストラは実際のところ、容易な判断ではありません。

筆者はかつて、メディアの報道の現場で仕事をしていましたが、毎日のニュースを放送するための現場の指揮系統はこのようになっていました。

編集長(項目の決定) → 各部デスク → (各部サブデスク) → 各現場の担当記者

ここにはひとつの特徴があります。
「指揮系統は必ずしも社歴に比例しない」ということです。

筆者は30歳の前後で「サブデスク」の役割にありました。
自分より年上の記者も含めて、デスクの意向を受けて現場記者に詳細な指示を出し、情報を原稿にまとめデスクに提出する、という役割です。
編集長が現場記者より遥かに年下、ということも多々ありました。
しかしそれで回っているのです。忖度による軋轢もほとんどありません。「年下なのに偉そうに」ということもありません。

なぜならば、このシステムは「人に役割を与えている」のではなく、「役割に人を配置している」からです。
年長者が指揮を執らないと軋轢が生まれるのではないか、と考えてしまうかもしれませんが、むしろそれは逆です。
「役割を標準化」することで、「適材適所」が生まれるのです。やり方は人それぞれでも、お互いの役割が明確化され、納得されていれば、指揮系統は付随的なものにすぎません。
むしろ、年齢順に並べているだけでは忖度だけが重要視され、媚を売ることを優先する部下が出てきてしまいます。

スクープを連発するベテラン年長記者が指揮官としてもスキルを持っているかというと必ずしもそうではありません。
情報を取ることは非常に得意だけれど原稿化するのが苦手、という年長者も多くいました。
それならばそれなりに、組織図の上に人員をプロットしていけば良いのです。

むしろ、指揮系統と社歴がリンクしている方が、現場がものを言いづらい状況を生んでしまいます。そうなると、組織は歪んでいきます。酒を飲みながら隠れて先輩や上司の愚痴を吐き合う、そのような時間に部下の体力は削がれてしまいます。

顧客ニーズに即答するためのアイリスオーヤマの手法

また、個人に依存しない「仕組み至上主義」を意思決定の速さに反映しているのがアイリスオーヤマです。
多彩な商品を次々と開発・市場投入する商品化の速さは、「ポストに人を充てる」方式から生まれています。

(多くの企業は)まず事業部やカテゴリーごとに担当者会議を行い、アイデアが出たら部課長会議にかけて、そこで認められた企画を取締役会に上げるというやり方です。自分たちの手を離れたら、上層部の判断を待つしかありません。そして上に行けば行くほど、ジャッジに要する時間が長くなり、最終的にやるかやらないかの決定を下すまでに半年以上かかることも珍しくありません。
<引用「ハーバード・ビジネス・レビュー」2021年2月号 p30>

発案から半年もかかっていたら、流行はとっくに過ぎ去ってしまいます。それが現代のビジネスです。
一方、アイリスオーヤマの商品開発プロセスはこのようになっています。

我々の伴走方式はそうではなく、毎週月曜日に「プレゼン会議」という新商品開発会議を開催し、その会議ですべてを決めます。
(中略)
プレゼン会議を通過して開発が決まったら、提案者がそのまま開発責任者になります。開発部門はそれぞれ数人のチームを組み、リーダーは商品ごとに変わる。
<「ハーバード・ビジネス・レビュー」2021年2月号 p30>

その場で意思決定がなされる速さと、また、提案者が直に指揮を執ることで「言葉で伝達しにくい詳細な項目」もすぐに反映されるのです。

「ホーソン実験」が明かした上長と現場の関係

ところで、テイラー・システムが誕生したのと同じ1900年代前半には、このような研究も行われていました。
「ホーソン実験」と呼ばれるものです。
テイラー・システムとは逆に、人間の感情部分と生産性の関係を調べたもので、アメリカのウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で実施されたことからこの名前がついています。

結論から言えば人間感情が生産性に影響を及ぼす、というものです。
「見られている」ことで従業員の生産性が上がる、と解釈されていることが多くありますが必ずしもそうではなく、一定以上の地位の人に観察されると作業員たちは成果を水増しして報告していたという事実もあります。

そして、「誰が見ているか」の重要性が明らかになっています。
一連の実験の中のひとつに、「バンク配線作業」というもがあります。
バンク配線とは電話交換機製造の工程のひとつで、実験は作業員をいくつかのグループに分けて、生産性の違いを見るというものです。

この実験では、それぞれのグループに異なる監督者をつけました。
すると、監督者のタイプによって作業員の感情が大きく変わることが明らかになりました。

監督者のタイプと作業員の反応はこのようにリンクしています[1]。

<チームA>
・監督者A:監督者ではあるが「部下と監督」という線を引かないタイプの人物
・作業員の反応:「彼は部下の事をよく知っている」、「彼は公平で公明正大な人だ」と語り、監督者Aに大きな信頼を寄せた。

<チームB>
・監督者B:グループの上にただ乗っかっている上司、といった感じの、歳の離れた年配者
・作業員の反応:監督者Bは作業員の信頼を得られなかった。作業員たちは「なぜBが監督者でなければならないのか」という疑問を持ってしまい、作業員から強い敵対心すら抱かれた。

<チームC>
・監督者C:「なんとなく」同じポストに長くいるだけで、部下から見ると、Cがどんな仕事をしているのか、どんな権限を持っている人なのか作業員はよく知らない
・作業員の反応:作業員たちは向上心を持たず、自分が優越心を持ちたい、楽をしたい、良くなりたいという身勝手な願望を持つだけのグループになってしまった。

監督者がどのような人物であるかによって、部下の対応や感情はここまで変わってしまうのです。

年長である、社歴がある、というだけの理由で監督者Bや監督者Cのような人を指揮者として配置しているとしたら、それは部下の生産性を下げているかもしれません。

年長である、社歴がある、というだけの理由で監督者Bや監督者Cのような人を指揮者として配置しているとしたら、それは部下の生産性を下げているかもしれません。

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「なぜその人がその立場なのか」への納得

なんとなく年功序列で肩書きを与える、そのシステムに疑問を持つ人は日本企業では少ないと言えるでしょう。
社歴が長い分、後輩の指導に適していると思い込んでいるためです。

「ひとりひとりのスキルや個性を活かせる職場」と綺麗事を言ったところで、本当の意味での適材適所でなければその言葉は意味を持ちません。

また、「この仕事はこの人にしか任せられない」というのも思い込みであり、同時に組織を危険な状況に置いてしまいます。
「この人」がいなくなってしまった途端、組織が破綻してしまうからです。

「役割」の明確化、あくまで組織図の上にその時いる人員を「向き不向き」程度でプロットしていく、そのような感覚が組織を動かし続けるには必要とされます。
そのためには、経営手法としてKPIの絞り込みや明確化も必要になってくるでしょう。

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[1]「ホーソン実験」藤原元一訳
https://core.ac.uk/download/pdf/147424076.pdf 

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