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【理不尽な客】カスハラ対応はすぐに謝るな!優先順位を決めてシンプルなクレーム対応を!

「お客様は神様」というのは商売人の立場であって、お客様が強要するものではありません。


しかしこの言葉が一人歩きして「お客様」がモンスター化し、店舗や企業に暴言を投げつける、あるいは理不尽な要求を突きつける「カスタマーハラスメント」が横行しています。

近年は「毅然とした態度を取るべき」という風潮がありますが、どこまで丁寧に、どこからは毅然とするのか、その線引きは難しいところでしょう。
しかし、カスハラ対応にこそ、マニュアルが必要です。

\ \ 組織運営には、マニュアルがあった。/ /

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7割が理不尽な客の迷惑行為に遭遇

7割が客の迷惑行為に遭遇

UAゼンセン流通部門が接客業従業員5万人を対象に行った調査では、7割もの従業員が客の暴言や社会通念を超えた要求などの迷惑行為に遭遇したと答えています(図1)。


図1 接客中の迷惑行為遭遇率(「GMS=総合スーパー」)
(出所:「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査分析結果」UAゼンセン流通部門)
https://uazensen.jp/wp-content/uploads/2018/09/%E6%B1%A0%E5%86%85%E6%95%99%E6%8E%88%E6%82%AA%E8%B3%AA%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%AF%BE%E7%AD%96%EF%BC%88%E8%BF%B7%E6%83%91%E8%A1%8C%E7%82%BA%EF%BC%89%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88%E5%88%86%E6%9E%90%E7%B5%90%E6%9E%9C.pdf p4

業態別に見ると特に多いのが百貨店、家電関連で、高額商品や知識を要する商品を扱っているため客も購入に慎重になり、その分接客時間も長くなります。その結果として「態度に対する」クレームが発生しやすくなると考えられています。

そして、迷惑行為の種類は、業態別に以下のようになっています(図2)。


図2 遭遇した迷惑行為の種類
(出所:「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査分析結果」UAゼンセン流通部門)
https://uazensen.jp/wp-content/uploads/2018/09/%E6%B1%A0%E5%86%85%E6%95%99%E6%8E%88%E6%82%AA%E8%B3%AA%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%AF%BE%E7%AD%96%EF%BC%88%E8%BF%B7%E6%83%91%E8%A1%8C%E7%82%BA%EF%BC%89%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88%E5%88%86%E6%9E%90%E7%B5%90%E6%9E%9C.pdf p6

最も多いのは「暴言」ですが、その内容は多種多様です。
「ブス」「ババア」と行ったセクハラや、「バカ」「アホ」「低脳」といった人格否定、「殺してやる」「車で轢くぞ」「土下座しろ」といった違法行為に当たるものまで報告されています。

女性店員の多いスーパーなどではセクハラ行為に遭遇しやすい一方で、男性店員の多い家電関連では「威嚇・脅迫」「金品の要求」「暴力行為」「土下座の強要」が多くなっています。

こうした迷惑行為への遭遇率を見てみると、もはや「やりたい放題」とも言える現状が浮かび上がります。
迷惑客が「時々いる」のではなくて「しょっちゅういる」のです。

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理不尽な客の攻撃対象が個人に変化する理由

攻撃対象が個人に変化する理由

明確な定義は難しいものの、従来の「苦情」「クレーム」を飛び越えて、「執拗な個人攻撃を繰り返す」のも「カスタマーハラスメント」時代の特徴と言えます。
商品ではなく「この店員の態度が気に入らない」という理由で、様々なハラスメントが個人に向けられるのです。

NHKが詳細な取材の元に編集した「カスハラ モンスター化する『お客様』たち」の中には、こうした激しい個人攻撃で追い詰められた人々の話が綴られています。

一つは、あるコンビニチェーンの50代の男性店長の話です。

20代の来店客からのクレームの始まりは「商品を袋に入れる入れ方がおかしい」というものでした。
店長はベテランのはずなのですが、とりあえずその場をしのぐために謝ると、それ以降来店のたびに、「謝り方が悪い」「お前は接客がダメだ」と何をしても声を荒らげるようになったといいます。
それも、店長だけを狙い撃ちにした形です。

そしてある時、限界を超えた店長が「じゃあ、他のお店を使ってください」と返事をしたところから、現金の要求が始まります。

客の反応は、
「だったらお前がこの店を辞めて出ていけ」
というものだった。
「お前が来るなって言ったって、俺はこの店を使わなきゃいけないんだから、お前が辞めろ」
「いや、僕が責任者なんで、そういうわけにはいきません」
川上さんは思い切って言い返し、
「どうしたら許してもらえるんですか」と尋ねると、いきなり、
「100万円払え」
と言われた。
「いままでこの店で使った金額を返せ」というのだ。
半年で200万円使ったが、半分の100万円でいいと言う。
(中略)
そんな理屈が通るはずもない。
買った商品の現物がなければ、返金できないのは常識だ。
しかも半年で200万円といえば、毎日来て1万1000円ずつ使った計算になるから、到底ありえない金額。
つまり、100万円返せと主張する根拠はない。
「だったら、慰謝料として100万寄越せ」
と、言い分は変わった。

<引用:「カスハラ モンスター化する『お客様』たち」 p45-47>

どこからどう見ても、ことの始まりからして理不尽なのは明確です。

その日を境に来店はなくなったものの、今度は毎日店に電話がかかるようになりました。
店長は警察に相談をするものの、来店して騒ぐなど何かが起きなければ動けないのが警察の立場です。

最終的には本部と弁護士に相談し、弁護士からの警告によってようやく電話も止まりましたが、「解決と言えるのか」については釈然としないままです。
恐怖が完全になくなったわけでもありません。

また、「ごね得」の旨味を知った来店客の横暴な振る舞いについても紹介されています。

あるスーパーでは、レジでのクレジットカード決済をめぐるトラブルが増えているといいます。
署名をしていないクレジットカードを使おうとする客にはその場でカードに記名してもらう、これはよくある事です。
しかし署名を拒否するだけでなく、挙句に長時間に渡って店員を罵倒するというものです。

あるスーパーでは、

レジでカードの署名を求められた男性客が、いきなり声を荒らげた。
「俺はいつも、このまま使ってる。俺は毎日来てるんだ。昨日の人もその前の人も、誰もそんな事言わない。いままで一度も言われたことがない。なんでお前だけ、そんなこと言うんだ」
そして、こう叫んだ。
「お前なんか、この店に要らない!」
年配の男性で声も大きい。
売り場責任者が飛んできても収まらない。
責任者は最終的に、署名なしで会計することを認めてしまった。
男性は勝ち誇ったように、新入りのパートの女性に言った。
「ほら見たことか、こんなに時間を使わせて、お前は何やってんだ!」
最後に責任者に向き直ると、
「こんなやつ、クビにしろ!」
と吐き捨てて帰っていった。

<引用:「カスハラ モンスター化する『お客様』たち」p29-30>

対応に当たっていた新人パート社員は、この事件をきっかけに精神に不調をきたして退職しました。
実はこの男性客は店では「有名人」で、どうせ話が通じない、レジを止めたくないという理由でそのまま通してしまう「暗黙の習慣」がありました。
しかし新人がそのような習慣を知るはずがありません。
それなのに大勢の客の前で罵倒され、売り場責任者にも自分の行動を否定されてしまった形です。

対応を現場に任せ切った結果、こうした「特別客」を生んでしまい、結果、貴重な従業員を失ってしまったのです。
これでは新人が定着しにくくなってしまいます。

事実、この店ではクレーマーが理由で出社できなくなってしまったパートやアルバイト社員が相次いでいました。

現場任せでなく、全員が一律の対応をする必要があります。

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理不尽な客に「謝る」のは良いことなのか?

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こうした「モンスター客」に遭遇した場合、あなたならどう対応するでしょう?

先のUAゼンセンの調査では、半数が「謝り続けた」と回答しています(図3)。


図3 迷惑行為への対応
(出所:「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査分析結果」UAゼンセン流通部門)
https://uazensen.jp/wp-content/uploads/2018/09/%E6%B1%A0%E5%86%85%E6%95%99%E6%8E%88%E6%82%AA%E8%B3%AA%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%AF%BE%E7%AD%96%EF%BC%88%E8%BF%B7%E6%83%91%E8%A1%8C%E7%82%BA%EF%BC%89%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88%E5%88%86%E6%9E%90%E7%B5%90%E6%9E%9C.pdf p13

いきなり大きな声を出されると、反射的に謝罪の言葉が口から出てしまうものです。

しかし、それが良いのかどうかについては、考えてみる必要があります。

例えば筆者も放送局勤務時代、クレーム電話に度々遭遇してきました。
放送の仕事は「モノ」を販売しているわけではないので、きっかけになるのは「放送内容への苦情」です。

そしてクレームに発展する場合の多くは「表現が気に入らない」視聴者の人々です。
明らかな差別用語を使ったり放送倫理を逸脱したりするものではなく、「言い回しが違う」というのです。

しかし軽々に謝ってはいけない理由があります。
事実関係を明らかに間違えて放送していた、というのであれば「誤報」として謝ることも考えられますが、こちらは「言い回し」の世界です。
その人の言語感覚や個人的な思想・信条の押し付けでもあります。
ここで謝罪してしまっては、「間違ったことを放送しました」と認めたようなものになってしまいます。

「じゃあ放送で訂正しろ」「新聞に謝罪広告を出せ」となるのは想像に難くありません。
守らなければならない一線というのが存在するのです。

なお、先のNHKの書籍「カスハラ」では、「元クレーマー」だという50代男性がインタビューで驚くほどの自己分析をしています。

「持ち上げられながら『すみませんでした』と言われることで、自分のクレームの正当性が認められたと感じるんです。なにぶん正義を振りかざしているので、『自分の言ってることは間違いじゃなかった。正義だったんだ』と認められると、自分で満足するわけですよ」
ー ある種、気持ちがいい?
「そうです。そういうことになりますね」
(中略)
ー どうして繰り返してしまったんでしょうか。
「ねえ。やはり、持ち上げられながら認められるというのは、ある意味クセになるんですね。それが、日常の中では得られない欲求だったんでしょうね」
ー 普段の暮らしの中では得られない、快感に近いものが。
「そういうことですね」

<引用:「カスハラ モンスター化する『お客様』たち」p107-108>

カスハラに関しては社会背景も含めた色々な分析がありますが、それがどんなものであれ、謝るほどに相手を増長させるというのが事実でしょう。

「正しく謝る」ことが必要なのです。非のないことを「非」にしてはいけません。

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まとめ 理不尽な客の対応こそ「機械的」であるべき

カスハラ対応こそ「機械的」であるべき

正しく謝る、とはどのようなことでしょうか。
UAゼンセンが示す「ガイドライン」には、「何に対して謝っているのかを明確にする」と記されています。

最初に紹介したコンビニ店長の場合も、そして元クレーマーの男性がコンビニでのクレームを言う理由になったのも、どれだけ譲っても謝るべきは「不快な思いをさせたこと」の一点のみ、と見ることができます。

それ以上を認めてしまうと、要求にキリがなくなります。
一人のクレーマーの「個人的な感覚」を許してしまうと、仕事が複雑になりすぎてしまいます。他の来店客との間に不平等も生じます。

パニックから店員を守るという観点からも、袋詰めを徹底マニュアル化するのではなく、「カスハラ対応」を完全に機械的にマニュアル化する方が得策なのは言うまでもありません。
どのクレーマーにも同一の対応をするように決めておく必要があり、マニュアル化することで従業員の精神的ストレスは少しでも和らげることができるでしょう。

例えばUAゼンセンのマニュアルでは、

「やりとりが膠着状態になってから20分を超えたら専門の従業員にバトンタッチしたり録音を始めるといった準備にかかる。30分後に理解されなければお引き取りを願う。それでも続くようであれば毅然と退去を求め、場合によっては警察に連絡。」

という「時間」を目安にしたものもあれば、

「同じことを何度も電話で問い合わせしてくるリピート型の迷惑行為に関しては、連絡先を確実に取得する。理不尽な要求の場合は3回目で対応できない旨を伝え、4回目からは上長に対応を一本化、必要に応じて警察に通報。」

という「回数」を目安にしているものもあります。

機械的に明確な線を引くのは重要なことです。

そして、こうした線引きを決めるときに考えておきたいことがあります。
最優先されるべきは「従業員のメンタル」だということです。
また、「現場の判断」という高度すぎる仕事を業務内容にしてはいけないということです。

ある居酒屋が、こんなポップを掲示して話題になりました。

「ブラック企業のため、少人数での営業を余儀なくされております。」

時給1000円の労働者に5000円のサービスを求めないでくれ、というスタンスを明確にしたものです。
この事例はやや極端かもしれませんが、経営者が従業員を守る姿勢を示すという意味では、意義があることではないでしょうか。
近年増加傾向にある「カスハラ」への対応として、参考にすべきかも知れません。

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参照
「カスハラ モンスター化する『お客様』たち」編著:NHK「クローズアップ現代+」取材班

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