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海外進出するなら「日本式」を捨てるべき3つの理由

グローバル化の掛け声の中、日本企業が海外の顧客をターゲットにすることが、今まで以上に増えています。

東南アジア、私の住むマレーシアにも日系企業が進出してきています。少し前までは、製造業が多かったのですが、近年ではサービス業が目立ちます。

ユニクロ、楽天、無印良品、ダイソー、ファミリーマートなどはもちろんのこと、近年ではブックオフ、吉野家、吉本興業、角川書店など、おおよそ、グローバルとは関係のなさそうな会社も進出しているのが特徴です。

一方、これまでは国内で完結していたような、インバウンドの顧客を狙う地方自治体や、地方の鉄道、伝統工芸、地方の酒蔵なども、アジアへ顧客を求めて出てくるケースが増えています。

並行して、現地企業と協業したり、マーケティングで現地のインフルエンサーに宣伝をお願いする企業も増加中です。

ところが、進出してくる企業には失敗して撤退していく会社も多いです。

2019年1月内閣府がマレーシアで「クール・ジャパンセミナー」を行いました。マレーシアで働く日本人経営者たちが集まり、「なぜ日本企業が海外で苦戦するのか」をテーマにしたシンポジウムを行いました。[1]

ここに限らず、現地でマーケティングをしている人たちの声を聞くと、「日本式にこだわる」「日本式を捨てられない」ことが失敗に繋がるようです。

では、なぜ、日本式にこだわってはいけないのでしょうか。

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メイド・イン・ジャパンを過信して失敗する

シンポジウムでは、多くの失敗が「メイド・イン・ジャパン」を過信することから起きているという報告がありました。「メイド・イン・ジャパンだから売れるだろう」と自信満々で日本製品を海外に持ってきたのに、思ったより売れない、というパターンは多いのです。

まず一つが過当競争です。

今やマレーシアでもタイでもシンガポールでも、日本製品は溢れています。マレーシアでも多くの日本食レストランが進出して、その後撤退しています。なぜかというと、数が多すぎるからです。これから進出する人は、日本製品というだけで、過当競争に陥っていることを認識しないとなりません。

次に、メイド・イン・ジャパンを過信するあまり、値段が高くなります。
東南アジアでは特に、日本製品はただでさえ「高い」という印象があります。さらに輸入関税やパッケージの変更などで、どうしても値段が上がってしまいます。ライバルである韓国や中国、台湾などの製品と比べられます。

現地の人はたとえ富裕層でも「高くても買う価値があるものかどうか」を厳しく判断します。「日本ブランド」は人気ですが、そこまでは通用しません。

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日本人の好みと現地の好みは異なる

もうひとつの理由として、そもそも現地の人と日本人の感性が大きく異なっているということが挙げられます。

たとえば、マレーシアのダイソーでは甘塩味のおせんべいしか置いてありません。

ダイソーのマネジャーに理由を聞くと、「マレーシア人にはしょうゆ味のおせんべいは、塩辛すぎて受けない」というのです。いろいろ置いてみたが、売れ行きが悪かったと。実際にスーパーなどを見てみても、置いてある日本式のおせんべいのほとんどが甘い味です。

同様に、ラーメン店の多くも、味付けを日本人向けに塩辛くするか、マレーシア人向けに薄味にするかで悩んでいるようです。マレーシアでインスタントラーメンを食べてみればわかりますが、塩味が日本よりずっと少ないです。

パッケージングやPR方法も好みが異なります。
たとえば、日本人は開発秘話とか文字を読むのが好きです。一方、現地の人は長文は嫌われ、読んでもらえないことがあります。また、日本人好みの渋い色使いよりも、原色を使ったはっきりとした色味が好まれることもあります。

テレビやラジオの使い方、広告の見せ方一つ取っても、現地の人々に人気のあるスタイルは、日本のものとことごとく異なります。

つまり、日本人が日本の感覚で売ろうとしても戦えません。

よく考えて見たら、日本に入ってきている中華料理も、インド料理も、中国やインド本国とは違います。同じことなのに、なぜか逆の立場になると「本物の日本料理が喜ばれるはずだ」と思い込んでしまう経営者が多いです。

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「プロダクト・アウト」の考え方では戦えない理由

日本企業が海外でものを売る場合、どうしても「日本の既存製品を海外で売る、プロダクト・アウト」方式になってしまうことが多いです。

しかしこの方法だとうまくいきません。現地でそもそも求められていないからです。これを「マーケット・イン」の発想に変えていくことが必要だと言われています。

そもそも、プロダクト・アウトとマーケット・インとはなんでしょうか。

プロダクトアウト(product out、product oriented)とは、企業が商品開発や生産を行う上で、作り手の理論や計画を優先させる方法のことです。買い手(顧客)のニーズよりも、「作り手がいいと思うものを作る」「作ったものを売る」という考え方です。

 一方、マーケットイン(market in、market oriented)とは、ニーズを優先し、顧客の声や視点を重視して商品の企画・開発を行い、提供していくことです。プロダクトアウトの対義語であり、「顧客が望むものを作る」「売れるものだけを作り、提供する」という考え方です。[2]

マーケット・インの発想に寄せていくためには、現地のローカル社員と一緒に考えていくことが必要になってきます。本社の日本人だけで進出を考えていても、現地の人々のマーケット感覚はなかなかつかめません。
ではどうアピールするのが正解なのか
では、この難しい市場にどうアピールしていくべきでしょうか。

日本で輸入製品を売るときには、日本人バイヤーに品物を選ばせる会社が多いのではないでしょうか。日本のマーケットを知っているのは日本人ですから。

それであれば、海外では逆で、「現地のバイヤーが日本で見つけてきたもの」を売る、という考え方をした方が合理的だ、という意見がシンポジウムでも出ました。

「売ろうとするマーケットを知り尽くした現地の外国人」に日本に来てもらい、売れそうなものをピックアップしてもらう、という意見です。

観光業界はすでにそうなっています。ニセコや白川郷が外国人に大人気になったように、実はマーケットにいる外国人たち自身が「人気が出るもの」を作っていきます。本気でモノを売りたいのなら、頭脳部分に外国人を活用する必要があるのです。

日本企業がこれをやろうとすると、外国人スタッフをどうマネジメントしていくかという問題が出てきます。これもまた、日本式ではうまく行きません。たとえば、日本人はつい相手を怒鳴ったり叱ったりしてしまいますが、人前で相手を怒鳴るのは、東南アジアの多くの国ではNG。下手をすると、現地のスタッフから総スカンになってしまうこともあるので注意が必要です。ここでもまた、日本式を忘れないとならないのです。

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まとめ

海外でモノを売る、というのは簡単ではありません。今後日本市場が縮小していく中で、多くの企業に海外進出は避けられない事態となっています。長い目で、マーケティング戦略を立てていくことも必要でしょう。

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参照
[1]
マレーシアマガジン http://www.malaysia-magazine.com/news/38404.html
[2]J-marketing net
https://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my02/my0227.html

筆者:のもときょうこ

ライター・編集者。マレーシアマガジン編集長。現地で情報発信の仕事のほか、マレーシアでインバウンド(観光)やマーケティングなどの仕事に従事している。最新刊日本人は「やめる練習」がたりてない (集英社新書)」発売中。
https://note.mu/kyoukn
https://twitter.com/mahisan8181

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