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スティーブ・ジョブズのリーダーシップとティム・クックのマネジメント『理想のリーダーシップとは?』

スティーブ・ジョブズ亡き後も経済界でトップを走り続けるアップル。アメリカ企業としては初の100兆円を超える企業としても話題になりました。[1]

これも後任のティム・クックによる力強いマネジメントによるものと言えます。

そこで、スティーブ・ジョブズとティム・クックのリーダーシップに着目し、現代の理想のリーダーシップについて考えてみましょう。

 

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快進撃を続けるアップルの歴史

 

アップル設立からジョブズ失脚まで

アップルは1976年にジョブズが友人のスティーブ・ウォズニアックと共に設立した会社です。しかし、創業から10年も経たないうちに、CEOとして引き入れていたマーケティングのプロ、ジョン・スカリーと折り合いが悪くなり、1985年に失脚します。アップルから追い出されたジョブズは新たな会社を立ち上げ、事業をつづけていましたが、ジョブズ不在のアップルは方向性を失い、経営不振に陥ります。

 

ジョブズ復帰後のアップル

1996年にジョブズが復帰したとき、アップルは慢性的な経営不振で、倒産まであと数ヶ月というまさに風前の灯でした。ジョブズはアップルの再建に注力し、開発製品の選別と自社工場の撤廃を進めていきます。そして2001年にiPod2007iPhoneと、私たちのライフスタイルを変えてしまう大ヒット作を世に送り出したのでした。

 

「アップルの黒子」ティム・クック

ジョブズ亡き後アップルを牽引したのは、「アップルの黒子」とも言われるティム・クックです。クックはCEOとなってから脚光を浴びた人物ですが、ジョブズがアップルに復帰してから引き抜いた人材です。それまでクックは、IBM12年間勤め、ジョブズがアップルに戻った頃は、コンパックというコンピュータ会社で在庫管理業務をしていました。アップルへの誘いを受け、はじめは乗り気ではなかったクックですが、ジョブズ本人と面会してわずか5分で考えを変え、1998年にアップルに入社しています。入社したクックはジョブズから業務部門のサプライチェーン・マネジメントを任され[2]、アップル再建を支えました。[3]

 

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スティーブ・ジョブズのマネジメント

ジョブズはアップル復帰後、いくつかの改革を行っています。特徴的であるのが、アップルが力を注ぐ分野を注がない分野を明確に分けた戦略です。

選択と集中に特化した戦略

 

得るために捨てる

1996年にジョブズがアップル復帰を果たしたとき、彼が最初に着手したのは、自社製品の取捨選択でした。アップル不在中に増えすぎた自社製品は40種類にものぼります。多くを廃止し、アップルが本来得意であった分野の4製品だけに注力できるようにしたのです。[4]ジョブズは他社と競合するような機能で戦うことはせずアップルだけが持つ機能で世界に勝負しようとしました。結果、この選択が効を奏し、iPodiPhone開発へとつながります。

 

自分の弱みを補完する人材で固める

アップル復帰後のジョブズは、自分自身の弱みを補完する人材で周囲を固めます。これまでに述べている実務担当のクックや、のちにアップルの専任デザイナーとなるジョナサン・アイブです。アップルのスタッフは、ジョブズによって、AからDまでランク付けが行われていました。そして、優秀であるAランクのスタッフでアップルを背負う製品の開発に着手したのです。一方で、下位ランクに位置づけられたスタッフにジョブズはチャンスを与えるものの、無能だと判断した人材には会社を去ってもらうという冷酷な一面も持ち合わせていました。[4]

 

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ティム・クックのマネジメント

 

サプライチェーン(供給システム)の見直しへ

クックはアップルの供給システムを見直しにかかります。クックはパソコン製造のビジネスでは、工程を可能な限り短縮することが重要であると見抜いていました。そこで、100社以上の取引メーカーを20社までに削減し、組み立て工場を中国だけに配置することで、供給管理の効率化を図りました。以前は70日以上あった在庫が、クックの取り組み後2年間で在庫が10日以下までに減らし、着実にアップルの業績回復に貢献したのです。[5]

 

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信長タイプのジョブズ、家康タイプのクック

 

気性の激しさとカリスマ性は戦国武将の織田信長に類似

戦国武将の織田信長は、短気でかんしゃく持ちでありましたが斬新な発想で天下統一の土台を作り上げた人物です。ジョブズも信長の性格やリーダーとしての特徴に当てはまるところがあります。なにより、自分の直感に従い世の中を変える製品を作り出すという明確なビジョンを打ち出しました。しかし一方で、気に入らないことがあれば人前でも平然とスタッフを怒鳴りちらすわがままな一面も持っていました。

 

実務面を担うクックは徳川家康タイプ

ジョブズの気性の激しさとは反対に、穏健な性格で知られるクックは、チームプレイを得意としていました。普段のクックは人当たりが良いのは事実でしたが、感情豊かなジョブズとは違って、何を考えているのか分からない印象を抱かせる人物でもあります。会社とプライベートの線引きをはっきりとさせ、仕事以外のことでは自分から深く人に関わる性格ではありません。

そんなクックにも厳しい一面があります。クックは普段は物腰柔らかな人物ですが、会議で不自然な数字を見つけると、平然と部下を問い詰め、相手を追い込んでいきます。クックの納得がいくまで何度も質問を繰り返し、結論が出るまで会議は終わりません。不明瞭な点をそのままにせず、問題を解決したいという意図が背景にはありますが、部下は自然と気を引き締めて会議に臨みます。この厳しさがあってこそ、アップルは在庫を最小限に抑え利益損失を最低限に抑えることができたのです。社内で黒子に徹し業務が回るように目を光らせるクックは徳川家康タイプであると言えます。

CEOに就任してからのクックは、ジョブズとは異なり、チームプレイによってアップルを率いていく姿勢を維持しています。

 

二人の共通点は「仕事の鬼」

こうしてみると、ジョブズとクックに共通するのは二人とも仕事の鬼だということです。ジョブズは出来上がったものが自分の思うような出来に仕上がっていない場合、妥協せずに何度もやり直しを命じています。また、ここぞというときの商談は、部下に任せず自分が足を運んで行うようにしていました。

一方、クックは早朝からメールをチェックし、ジムやジョギングに出かけたあとで、誰よりも早く出社しています。誰よりも遅く会社に残って仕事をするような人物です。

二人に共通するのは、アップルが世界を変える製品を生み出すために、不可能なことはないという信念であり、仕事において常にベストを尽くすという姿勢です。[6]

 

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これからの時代のリーダーとは

 

自他共に厳しいリーダー

ジョブズとクックのリーダーシップを見ると、仕事に妥協しない姿勢であるとともに、部下には相当なプレッシャーをかけることも自明です。ジョブズやクックのような人物がリーダーである場合、彼らの罵倒、批判に耐える精神、そしてそんなリーダーの性格を熟知して逆手にとるしたたかさが部下には必要です。ジョブズは自身の気性の激しさが原因で、有能なクリエイターがアップルを去るという事態も経験していますが、それでも彼の周りに有能な人物が事欠かなかったのは、彼のカリスマ性があったからこそできたことです。しかし、カリスマ性はときに部下からの熱狂的な支持を得ますが、一方で部下のモチベーションを大きく殺いでしまうこともあります。現に、ジョブズは傍若無人な振る舞いが原因でアップルを追い出されていることも事実です。

 

ワンマンタイプからチームプレイ型のリーダータイプへ

総合的に見ると、クックのような、仕事上の妥協のなさと厳しさはあれ、多様な人材を活用し、実績を出せる人が現実的に必要とされるリーダー像でもあります。相手の意見に耳を傾け、歩調を合わせるリーダーはチームワークに長けているでしょう。クックは荒々しく個性的なジョブズと異なり、日本のリーダーシップにおいても重要でしょう。

 

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参照

[1]https://www.bbc.com/news/business-45050213  (2018年11月5日参照)
[2] ここでいうサプライチェーンとは、製品を効率的・効果的に生産するために必要な部品調達から組み立て、製品供給に至る物流経路やシステムのことを指す。https://www2.rku.ac.jp/takada/zemij/graduate/chap1.pdf (2018年11月7日参照)
[3]
大谷和利『アップル早わかり』中経出版、2012年10月、ケイン岩谷ゆかり『沈みゆく帝国-スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか』日経BP社2014年6月参照
[4]桑原晃弥『スティーブ・ジョブズだったらこうするね!カリスマリーダーの問題解決力』あさ出版、2011年8月
[5]桑原晃弥『スティーブ・ジョブズだったらこうするね!カリスマリーダーの問題解決力』あさ出版、2011年8月
[6]https://www.u-tokai.ac.jp/academics/undergraduate/political_science_and_eco/kiyou/index/pdf/2015/06_iwatani.pdf
[7]
大谷和利『アップル早わかり』中経出版、2012年10月

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